受講生インタビュー

PRで配給権を持つインド映画を広め日本とインドの架け橋に-稲垣紀子さん

PR塾受講生の稲垣紀子さんは、ご主人が経営するインド料理店を週末などにお手伝いしながら、ご自身も初めてインド映画の権利を獲得し、この秋の公開に向けて準備をしています。
なんと、映画配給をするために、フルタイムの会社員を退職。多額な宣伝費用をかけずに映画を広める方法を模索する中で、PR塾に入塾されました。1つの掲載をきっかけにメディア掲載が続き、シャンパンタワーのような波を作れているそうです。PR塾での学びが生かせた点などを聞かせてくれました。

Profile

インドと日本をつなぐインドプロデューサー
【響け! 情熱のムリダンガム】の劇場公開(2022年10月1日)に向け邁進中。
インド映画の聖地とも呼ばれる、南インド料理と映画の店【なんどり】のマダム。
なんどり映画部門:テンドラル合同会社CEO

なんどりHP:https://nandri-tokyo.com/

Twitter:https://twitter.com/intent/user?screen_name=munmun_t

映画の公式サイト: https://thendral.co.jp/mridangam-movie

共同通信の取材を受けている稲垣紀子さん
(共同通信の取材を受けている稲垣さん)

映画「ムトゥ踊るマハラジャ」でインドに夢中に

―稲垣さんは、インドに関するお仕事をされていると伺っています。詳しくお聞かせください。

夫がインド料理店を経営しており、私も時々手伝いながら、昨年8月にインド映画の日本上映権を取得し、この秋の劇場公開に向けて映画配給業務を行なっています。

―インド映画の権利を取得するきっかけはあったのですか?

20年以上前に「ムトゥ踊るマハラジャ」というインド映画が日本で大流行し、インド映画が好きになり何度もインドを訪れるようになりました。夫が9年前にインド料理店を開業した際に趣味の延長で、日本で未公開・未発売のインド映画のDVDを海外から取り寄せて店の傍らで販売していました。ですがDVD業界も世界的にみるとネット配信や海賊盤に押されて縮小し、年々新作が出ない状況になっていました。そこで、映画ファンとして、海外のDVD業者が廃業せず新しい新作を出してもらう日本からの支援をすべく、2019年頃から新作海外盤DVDに日本語字幕をつける協力をしたり、オンラインショップも立ち上げて本腰を入れて販売を始めました。
そうこうするうちにコロナ禍になり、店の飲食部門の売り上げは大打撃を受けましたが、逆にネットショップでDVDの売れ行きが絶好調になりました。中でも1番売れたDVDが、東京国際映画祭で上映されて評判が高かったにもかかわらず一般の配給会社に見送られている作品でした。この映画を語るイベントをZOOMで行ったところ、オンラインだったことでインドから監督本人が飛び入り参加してくれて繋がり、今回の権利取得に至りました。

―ずっとインド関係のお仕事をされているのですか?

昨年(2021年)8月に映画の権利を購入するまでは、事業会社で法務や経営企画の部署に勤めていました。でも映画の劇場公開を実現させたいと思った時に、会社員としてフルタイムで働き、子どももいるので家のこともしながらの映画配給は自分には難しいと考え、映画配給に専念するために思い切って退職しました。

映画公開にあたり宣伝費をかける以外の方法を模索し入塾


―そうだったんですね。では、PR塾には、PRで映画を広めるために入塾されたのでしょうか?

前職で商工会議所のセミナーなどに参加する機会があり、プレスリリースの解説も何度か聞いて知っていました。多額な宣伝費をかけずに映画配給をする方法を模索する中でプレスリリースは有力だなと感じ、笹木郁乃さんがされていたPRに関するYoutubeを5、6本見て、LINE公式に登録し、申し込みました。
入塾した当時はまだそんなにPRで映画を宣伝しよう!という強い意気込みはなく、でも趣味をちゃんとビジネスにしたいと思い入りました。

―そうだったんですね。PR塾に入って役立った点はありますか?

映画を上映するには、映画館との契約が必要になります。顔見知りの映画館さんではありましたが、PR塾で学んだPR設計を無意識に使って、ストーリーを入れたプレゼンができたことがいい結果につながったかもしれません。もうひとつは、メディア交流会でプレゼンしたことをきっかけに東京新聞に掲載して頂けました。レストランのことも映画のことも1つの記事にして頂け、記事を読んで「こういうふうに想いを言語化すればいいんだ」と学びになりました。
そしてテレビ東京の「出没!アド街ック天国」という番組に再出演できたのもPR塾で学んだことがあったからだと思います。実は7、8年前にも同番組で取り上げられたことがあり、そのご縁で再度ご連絡をいただいたのですが、それは講義で学んだようにHPの最新情報を更新し、PR設計を意識してサイトを整えていたのも大きいと思います。ディレクターさんもサイトを見て映画のことを知って連絡をくださったし、以前一緒に出ていたお店が皆再登場しているわけではなかったので、やはり新しい取り組みの話題も見えるように伝えていたことがよかったと思います。

東京新聞への掲載記事「日本とインドの架け橋になりたい」と話す稲垣紀子さんと富久さん夫妻
PR塾のメディア交流会から掲載に繋がった東京新聞


14、5ものWebメディアに掲載されそのうち3記事がYahoo!に転載


―メディアの方もHPやSNSを見てから連絡をくださるのですね。他にも掲載実績などはありますか?

実は映画のPRには独特のやり方があることを知りました。映画専門のパブリシストに協力してもらっていますが、アド街ック天国や東京新聞で話題になっているうちに映画公開日のリリースを行うことになりました。情報解禁日時を設定し、各種映画系メディアで一斉に情報が掲載されるようにとパブリシストがプレスリリースを送信。その結果、14、5のWebメディアに掲載され、そのうち3つがYahoo!に転載されました。1つの掲載が新たな掲載を呼び、シャンパンタワーのように広がっていくのを実感しました。

NHKで稲垣さんがPRする映画が紹介される様子
NHKで稲垣さんがPRする映画が紹介される様子

―では、最後に稲垣さんの今後の目標や夢をお聞かせください。

直近の目標は、配給権を取得した映画「響け!情熱のムリダンガム」が10月1日に東京都渋谷の劇場で上映開始するので、一人でも多くの方に届けられるように頑張りたいです。今回の映画のテーマは、身分差別と伝統芸能の承継なのですが、インドやこれらのことに関わる活動や研究をしている様々な方に、映画の感想や背景についてパンフレットなどへの執筆をお願いしています。この映画配給プロジェクトの後も、素晴らしい情報や志を持っていらっしゃる方々同士をつなげて、社会のことを考えたり、インド映画はもちろんインドのことをより多くの方に知って頂けるような活動をしていきたいです。映画の上映をきっかけに新しい取り組みもできるのではと期待しています。

趣味がビジネスになるプロセスをどんどん進まれている稲垣さん、インドと日本をつなぐ架け橋として今後もご活躍を期待しています。

※2022年9月26日取材当時の情報です

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