受講生インタビュー

大企業のマーケティング職から独立、PRスキルを獲得し洋菓子店の経営者として活躍―宅間綾子さん

外資系ホテルや航空会社のマーケティング担当として活躍した後、洋菓子店の経営者として独立した宅間綾子さん。本業に注力する一方で、副業としてマーケティングとPRの仕事も手掛ける多忙な日々を送っています。会社員時代に携わってきたPRの業務と独立後の違いに戸惑いながらも、確かなスキルを身に付けて経営に生かしています。

PROFILE

大手レストランチェーンでソムリエとして勤務した後、ワイン輸入会社、外資系ホテル、航空会社でマーケティング、PR、ブランディングなどに携わった後に独立。現在は東京都内で洋菓子店「パティスリー ドゥ ボンヌ オーギュル」を経営する。趣味は洋菓子店巡りと美味しいものの食べ歩き。

HP:https://debonneaugure.com/

Instagram:https://www.instagram.com/debonneaugure/?hl=ja

外資系ホテルのマーケティング担当としてテレビ取材を多数獲得

―独立する前はどのようなキャリアを歩んでこられたのですか。

最初は大手レストランチェーンで、10年間ほどソムリエをやっていましたが、出産をきっかけにワークライフバランスを考慮してワインの輸入会社に転職し、営業企画と広報を担当しました。『LEON』や『東京カレンダー』の編集長を務めたこともある上司に教わりながら、ブログを書いたり、プレスリリースを書いたり、メディアリレーション構築を行ったりしていました。その後、外資系ホテルに転職し、総支配人の直属としてマーケティングとPRの業務に従事することになりました。

―マーケティングやPRの業務にはすぐに馴染めましたか。

一部リモートワークもできましたし、子育てしながら働くにはすごく良かったですね。ホテルの総支配人がマーケティングのプロフェッショナルで、直属での部下としていろいろと教わりました。1カ月に最低1本はテレビ取材を獲得してくるミッションを与えられたため、多い時にはひと月に9本のプレスリリースを書いたこともあります。目標を達成すると給料もどんどん上がり、やりがいは大きかったです。

―1カ月に1本テレビ取材獲得はかなりハードルが高いと思いますが、どのように達成していたのでしょうか。

上司はPRのプロではなかったのですが、ユニークなアイデアを次々に出してメディアが取り上げざるをえないようにするのが上手かったですね。時勢と絡めて人を惹きつけることを考えろと、私もよく言われていました。

大企業と独立後ではPRの方法が全く違った

―独立しようと思ったのはなぜですか。

その後、航空会社に転職しましたが、半年も経たないうちにコロナ禍の影響でレイオフされてしまったんです。次に別の外資系ホテルに転職することにはなりましたが、不測の事態が起きた時に会社にどっぷり依存する生き方は危険だと考えるようになりました。ちょうどその頃、緊急事態宣言で休館中だった前職のホテルのオーナーシェフと協力してお取り寄せ用のケーキを作って販売したら想像以上に上手く行ったため、シェフはホテルを退職し、ビジネスパートナーとして一緒にやっていくことになりました。

最初はオンライン販売だけでしたが、受注が増えて卸の仕事も決まったため、2022年に文京区湯島にお店を出すことになりました。そのタイミングで私も退職してお店の経営を本格的に行うことになりました。

文京区に出店した洋菓子店「パティスリー ドゥ ボンヌ オーギュル」

―お店を出した後は順調でしたか。

オープン時には200名近くの行列が出来ましたし、2023年のG7広島サミットでデザートを提供したたことで引き菓子の注文が多数入ったり、大企業の式典に採用されたりと、他店と比べれば上手く行きすぎている感覚はあります。でも、不安は常にありますし、ケーキ屋の倒産件数も増えているので安心できる状況ではありません。

―前職でPRの実績を積まれたにも関わらず、改めてPR塾で学ぼうと思ったのはなぜですか。

外資系ホテルも航空会社も世界的に有名なブランドでメディアに知られていましたし、連絡すれば取材に来てもらえる関係でしたが、独立した後は同じやり方が通用しなくなってしまいました。お店を開業した時は有名ホテルのシェフが独立したということで取材してもらえましたが、1カ月に1本のテレビ取材が当たり前だったころと比べると、注目してもらえない現実に直面して凄く悩みました。それで、もう一度PRをしっかり学び直そうと思ったんです。

―PR塾に入って、それまでの広報業務でやってきたこととの違いは感じましたか。

大企業のPRと違って、やはりもっとメディアに踏み込んでいかなければいけないというのを実感しましたね。大企業の時は業務的なメディアリレーションで良かったのですが、自分のお店をPRする場合は1つのメディアに対しての気合の入れ方や思いの深さが全く違っていました。

PR塾の良さはモチベーションの高い仲間と情報をシェアできる環境

―入塾して最初の成果は?

デザートを提供したG7広島サミットが入塾直後に開催され、テレビ取材がすぐに決まりました。ただ、PR以外の仕事もあったため、せっかくのビッグニュースがあったのに塾で教わったことの2割くらいしか動けなかったのが悔やまれます。ウェブサイトや新聞からも取材を獲得できましたが、全然足りなかったという思いです。攻めるべきメディアを、もっとちゃんと選定できれば良かったです。

G7広島サミットで提供されたデザート

―前職の経験があるので目線が高いですね。

もともとマーケティング畑なので、ウェブ展開をもっとうまくできるとか広告をどこに出せば良いかという目線も入るため、PRだけに力を入れるのは難しいなと思いつつやっています。スタッフは現在8人いますが、もう少し人が欲しいと思うこともありますね。

―PR塾に入って最も良かったと思うことは何ですか。

時間のやりくりが厳しく、教わったことを十分に実践できたとは言えませんが、リアル講義に参加したり懇親会に出たりして、人との繋がりが出来たことが良かったです。さまざまな塾生仲間の活動を見るとモチベーションが高まりますし、みんなで情報をシェアしようという気持ちが強いのも良かったと思う部分です。

―卒業後もVIPプランで学びを継続されたのは、やり足りなかった部分を埋める意味もあるのでしょうか。

そうですね。最後まで「あれができた、これができた」という思いが沢山あって寂しいのですが、6月でVIPも卒業となります。

選択肢を多く持ち、安定経営を実現したい

―今後、仕事を通じて実現したいことは何ですか。

お店を今後どう展開していこうかと、ちょうど悩んでいる時期です。今はシンガポールのオンラインショップや新宿のカフェにケーキを卸したり、生命保険会社のカタログに製品を載せてもらったりと範囲が広がってきました。これからは販売所を増やそうか、卸を手広くやろうか等、いろいろなことがまだ決まっていないのですが、どんな状況になっても挑戦すべきところは挑戦して、経営を安定させるのが目標です。

店舗だけだと猛暑や台風でお客さんが来なくなることがあるため、オンライン直販や卸の他に、オーナーシェフによるコンサルティングなども手掛けています。従業員を路頭に迷わせられない責任もあるので、選択肢を沢山持ちたいと思っています。

調理場の様子

―経営面で忙しいとは思いますが、お店のPRにももっと力を入れたいところですね。

ネタ作りや戦略を一人で考えるのは難しい部分もありますが、しかるべきタイミングは来ると思うので頑張りたいです。

―最後にPR塾生やこれから入塾を考えている人たちにメッセージをお願いします。

現段階ではPRによって何ができるか分からない方もいらっしゃると思いますが、人脈作りや新しいことに挑戦したいと思っている方はぜひ入塾をお勧めします。自分と同じ環境の人と交流できたり、異業種の方から情報をもらったりと良い刺激になりますし、PR塾の中で仕事を発注したり、受注したりできるのもありがたいです。私はどうしても手が回らない繁忙期に塾の中で業務を担当してくださる方を募集して、とても良い方に出会えて乗り切ることができました。

また、SNSに力を入れたいと思っている方にとっても、SNSマーケティング専業のプロの講師が、それぞれのSNSの特性に合わせて戦略や実行方法を細かく教えてくれます。私が経験したように、仲間がSlackで成果報告するのを見たりすれば、PRの効果がよりイメージできるようになると思います。

―ますますのご活躍を期待しています。本日はお話有難うございました。

※2024年6月取材時の情報です。